冬至が明けて、寒さが一層厳しくなる1月半ば。そろそろ土用の時期ですね。
今回は「冬の土用」について説明していきます。
土用ってなに?
土用は夏だけと思われている人が多いですが、年に4回四季毎にあって、その季節毎に気をつけることが変ってきます。
土用とは、雑節(ざっせつ)のひとつで二十四節気だけでは十分に季節の変化を読み取れないために補助的に日本で考えられた暦です。
自然哲学の五行思想(ごぎょうしそう・万物は木火土金水の5つの元素からなる)で割り当てられます。
春=木、夏=火、秋=金、冬=水そして、その間の季節の変わり目毎に土が割り当てられた時期を土用といいます。
土用全体で気をつけると良いことがあるのですが、ここでは、冬の土用を掘り下げていきます。
2024年冬の土用はいつからいつまで?
土用は毎年立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間も続きます。
2024年の冬の土用は、1月18日(木)~2月3日(土)です。
最初の日を「土用入り」最後の日を「土用明け」といいますが、土用が明ける日はそれぞれの季節の節分となります。
立春前の節分は、その年の福を司る歳徳神(としとくじん)がいるとされる吉方位=恵方を向いて太巻き寿司を食べますね。その次の日からが冬の土用です。
土用の間日とは
どの季節の土用でも18日間続きます。その期間、やってはいけないことや注意しなければいけないことがあるのはご存じでしょうか。
土用の期間やってはいけないことがあるなんて、どうすればいいのか不安に思ってしまう人も多いでしょう。
それぞれの土用には「間日(まび)」という日があり、「間日(まび)」は、土用の期間にやってはいけないこととされていることを、やっても良い日とされています。
土用期間の過ごし方で運気や健康管理、間日について、どんなタイプが体調を崩しやすいかまた、どんなことに注意すればよいかを詳しく書いています。こちらをお読みください。
季節ごとに決められていて、
「春土用」は「巳の日」「午の日」「酉の日」
「夏土用」は「卯の日」「辰の日」「申の日」
「秋土用」は「未の日」「酉の日」「亥の日」
「冬土用」は「寅の日」「卯の日」「巳の日」が
「間日(まび)」にあたります。
2024年冬の土用の間日
2024年の冬の土用は、1月18日(木)~2月3日(土)です。
冬の土用に食べると良いもの
冬土用には、「ひ」のつくものや、赤いものを食べると良いと言われます。
「ひ」がつくものといえば、ヒラメや未肉、ピーマン、ビーツ、ひじき、ひよこ豆、ピーナッツバター、などがあります。
赤い食べ物といえば、ニンジン、サツマイモ、赤パプリカ、レッドオニオン、ラディッシュ、ラズベリー、いちご、赤ぶどう、クランベリー、アセロラ、といったもの。
料理に使いやすい食材が多いので、取り入れてみるといいですね。
土用と体調
土用は体の面から「とても簡単」にいうと季節の変わり目に体が次の季節へと平穏に対応していけるように設けられた移行期間です。
本来の土用の意味はまだまだあります。カラダの説明もそう簡単ではありませんが、暦と体について照らし合わせてみましょう。
多くの患者さんを見ていてわかるのですが、”土用”は胃腸の調子が狂っていつもより食べ過ぎたり、飲みすぎたりしてしまう、または、胃腸の調子が狂うのです。
暦的に土用は「脾胃(ひい)」に対応します。この「 脾胃(ひい) 」とは胃腸のことを指します。人間は自然に逆らえないことが如実にあらわれていると感じます。
日頃から胃腸が弱いから気をつけている人は特に崩してしまいますから、注意すべきことを書いていきましょう。
まず、土用は次の季節に体を慣らしていく期間なので、うまく付き合うことで一年中体調良く過ごせるチャンス。土用の時期にいつもと同じように食べたり食べ過ぎて、消化吸収に力を費やしていると、次の季節へ体の準備が追いつかなくなります。
なので、できるだけ土用の時期は平素より食べることに気をつけたいものです。土用に食べる量を減らすなどで消化の働きに力を使うことを減らし胃腸を労わると、その分の力で次の季節にカラダが順応しやすく体調も良くなるのです。
冬の土用をうまく乗り切るには
土用に入る前から、胃腸を労り消化のよい物を食べたり、食べる量を減らしておく、そして、便秘には注意し便通を良くしておくことが大切です。内臓の中を空にしておくくらいのつもりで、土用を迎える前から楽に過ごせ、胃腸を休ませて次の季節に順応できる体にしておくと季節の変わり目が楽に過ごせます。
しかし、食べ過ぎ飲み過ぎや間食を続けたりして胃腸を酷使したまま迂闊に過ごしてしまうと体の状態が土用前から変わっていってしまうのです。吐き気がしたり、食欲にムラが出てしまいます。
殊に冬の土用はクリスマスの食事やケーキを食べたり、お正月のおせち料理を食べたりして、味は砂糖を多く使った濃いものを冷たいまま食べています。かなり胃腸は疲労しています。
お腹は空いていないのにストレスで食べつづけてしまうときには。
七草粥が有るのもこのためですが、しばらく食事の量を減らしたり、抜いたりしておくと良いでしょう。
この時期は食物繊維を食べたくなりますが、胃腸の消化に負担がかかりますので、七草粥のようにクタクタになるくらい柔らかくしてくださいね。
食べ過ぎれば、風邪をひきやすくなります。でもこれは、強制的に風邪をひいて体を元に戻そうとする浄化作用なのです。
風邪は自然の健康法である。風邪は治すべきものではない、経過するものである—
風邪の効用(ちくま文庫) 野口晴哉著
自然な経過を乱しさえしなければ、風邪をひいた後は、あたかも蛇が脱皮するように新鮮な体になると著者は説く。
しかし、風邪をひいたらやっぱりつらいですし、このご時世ひかない方が身のためですので、やはり食べ過ぎない様注意しましょう。
「では、間食はどうでしょうか?」と訪ねられますが、ここでもう一度目的を明確にしましょう。胃腸の消化に負担をかけないために食べ過ぎないようにしたいのです。
だから、間食は極力しない。胃腸を空にする時間を作ってください。
冬は寒く、乾燥しやすい時期です。他の季節よりも風邪を引きやすい時期、ウイルス感染しやすい時期でもあります。感染しやすい人の注意事項や生活スタイルに気をつけましょう。
食べ過ぎを減らして免疫力を下げるだけでなく、免疫力と新陳代謝上げるために気をつけてみましょう。
もしも、あなたが胃腸が弱かったり、日頃から冷えが気になっていれば、冬の食べ物などで冷え対策をしておいたり、消化の良い食事をとったり、食事を抜くとさらに助けになりますよ。
また、乾燥しないように部屋の湿度を上げたり、身体を冷やさないようにするようにするとともに、免疫力を上げる行動をより意識した食べ物を摂ることもとても大切になります。
免疫の働きを高めるための気をつけるポイントは知っておくと良いでしょう。
免疫力が弱い人はぱっと見てわかるのです。このタイプの人が特に気をつけたいことはこちらです。
冬の土用からの生じてしまう病
冬の土用と冷え
冬の土用から次の季節に体が順応できず、胃腸の調子が悪いままでいると次の病に移ってしまいます。これを東洋医学では、「病の伝変(やまいのでんぺん)」と言います。次にどういう症状になるかがあらかじめ予測されるのです。*病の伝変は、季節や体質、既往歴や現病歴など鑑みます。
冬に特に気をつけたいのは、「冷え」特に食べ過ぎ飲み過ぎで内臓に負担がかかっていると、消化に時間がかかる=内臓が動きにくい→停滞すると冷えが強くなります。
普段からお尻が冷たい人は、内臓が冷えているのでもっと冷えが強くなったり、脚腰がきしむように痛んだりします。
また、膝周りから下にかけて足や足の裏が痛むようになります。
冷え症といっても体質で弱い臓器が異なります。冷えからわかるタイプと改善ポイントでチェックしたら、
冬の冷え対策と簡単な食事メニューなどで乗り切ってください。
土用の胃腸症状がさらに進行すると
人によって、胃腸の症状からイライラと湿熱が結びついてしまうタイプがあります。イライラや湿熱になると戻りにくくなるだけではなく、もっと次の症状に進行していきます。
ここ2~3年で増えているのが、【不安】【不眠】です。
一見湿熱と関係ないように思われますが、湿熱が貯まる箇所によって、生じてくるやっかいな症状なのです。
湿熱が貯まるということは、全身の排泄機能、解毒機能が落ちてくるので、他の病理産物を生じ絡み合っていきます。
当初は、胃もたれや湿熱だったのが、胃腸の負担を見過ごした結果、年単位で作られるものです。
が、【不安】【不眠】が急激に強く出てきます。
土用の胃もたれや食べ過ぎをそのままほおっておくとどうなるかについてはこちらをお読みください。湿熱チェックはこちらへ
その他にも土用の後起こる症状には、季節の変わり目に腰痛が出る、肩の痛みやこり、腰のこりや痛みが起こる、または体調を崩すという筋骨格系の症状です。
頭痛・腰痛・肩こり・のぼせ・うつ・ストレスはこれの乱れかもしれません。
テレワークなどの頭痛・肩こり・五十肩の関係とおすすめのツボはこちらへ
このような場合は痛い部位や凝っている部位だけをマッサージしたり、鍼をしたりしてもスッキリとは治らずに繰り返すことがあります。毎年季節の変わり目、同じ時期に痛みや凝りの症状が出る人は、胃腸の弱りを改善しなければ、取りにくい痛みや症状という可能性があります。
胃腸の調子が戻りにくいときには鍼灸で調整して次の季節に先回りして備えながら、回復を促していく施術が有効です。
このような痛みは、痛くなる前に避けることができますので、覚えておいてくださいね。そして、自分の腰痛や肩こりはこれではないかと思われたら、どうぞご相談ください。
最近では、在宅ワークでこの症状がもっと長く続いてしまう人が増えました。テレワークでの頭痛・肩こり・腰痛・五十肩の関係とツボについてこちらをお読みください。
土用の”胃もたれ””食べ過ぎ・飲み過ぎ”を放っておくとまた別の症状に変っていきますので詳しくはこちらをお読みください。
おわりに
土用はやってはいけないことがあるし、食べ過ぎてはいけない怖い期間。そう思わないでください。
体調を崩しやすい時季であることを自覚してふだん以上に節制することで、移りゆく季節に順応した体になって快適に過ごせるぞ!と心して乗り越えましょう。
いつも調子が良い自分でありたい人、いつもベストな体調を維持したい人は、東洋医学では全身の免疫を上げることを目指します。鍼灸で整えていきましょう。
悪くなってから憂うことから卒業すると、心理的にも大きな成長を遂げていきます。
年末年始は誰でも食べ過ぎてしまいます。その後に来る土用を上手に乗り越えれば春はもうすぐです。春の花粉症に悩む人やめまいを起こしやすい人は是非土用の注意を覚えて置いてくださいね。
皆さまも昔からの知恵を生かして、冬を乗り切って下さいませ。