日本は梅雨から夏に湿度が高くなるので要注意。湿気を貯めない体にしておく必要があります。
湿気を発散する3つの方法をご紹介します。
体内に湿気をためこまないようにすることが重要な理由、それは、「脾」が働き五臓を養うので、「脾」の働きが悪いと臓器全体が弱っていきます。その「脾」の働きを弱める原因の一つが湿気です。「脾」は湿気に弱いのです。
「脾」と【土用に気をつけると良いこと】があります。詳しく書いていますのでお読みください。
ここでは、「脾」と湿気をためない=水はけを良くするセルフケアと気をつけることを解説します。
早めにケアしていくと夏バテ予防とそれ以降にもつながるので、どうぞ最後までお読みください。
身体の湿気を発散する方法①
始めに、水はけ利水について食べ物から説明します。
きゅうりやすいかなどの瓜類がおすすめです。
夏は尿の量が減ったり、色が濃くなりませんか?尿は血液からできますが、尿の量が減っていたり色が濃くなっているということは、簡単に言えば血液ドロドロになっています。汗をかくから尿の回数が減るのですが、
熱いから水分はたくさん飲んでいても尿が出ない状態になりやすいため、たくさんの水分とそれに比例して一緒に塩分をとって尿が出るように注意しましょう。利水作用がある食材「すいか」「きゅうり」「トマト」に塩をかけて食べるとか、ぬかづけにしたりして浸透圧で体内にしっかり引きもませてから汚くなってしまった水を体外へ出してしまうのです。
身体に溜まってしまった余分な水をきれいな水と入れ替えて出してしまいましょう。ただし、塩分と水分の摂取量について制限のある人は控えて下さい。
余分な湿気を追い払うには「芳香化湿」という、いい香りで体の湿気を発散させる作用をもった食材もおすすめです。しそ、しょうが、パクチー、フェンネルなどがこれにあたります。なんにでもしそを入れるなんていうのもいいでしょう。
しそ入り緑茶もおすすめです。
夏は「みょうが」「なす」など水気を多く含んだ野菜が取れますね。時期のものを意識して選び、香のある野菜と一緒に食べてみましょう。
湿気を発散を食べ物で促すこともできます。ネギ、生姜、にんにくなど薬味に使用される食材や黒ゴマ、黒酢、黒豆、黒米など黒い色の食材は、体内の血流を上げ体を温める作用が期待されていますので、夏野菜を単独で取り入れるより組み合わせて食べると冷房の冷えにも良いですね。ショウガ、ネギ、ニンニクを薬味で使うと簡単です。
しょうがは体を温めて発汗を促しますが、大量に食べたり、肌に炎症がある場合や、イライラが強い、熱がこもっているときに食べると悪化することがあります。自分の体の声を聴いて、体調に合わせることが大切です。
「芳香化湿」漢方よもやま話<弁証論治
ハル薬局
また、味が濃くてネバネバしたものや柑橘類をたくさんとることは避けたほうがいいと言われます。
湿気を発散する方法②
湿気を発散するには、まずは発汗するにかぎります。軽く運動して汗をかくのは夏に必要なケアです。
梅雨前から入浴して汗をかく練習をしておくことをおすすめします。
汗をかいて涼んだら、サッと汗がひく身体にしておきましょう。ダラダラと汗をかき続けるのは気を消耗し、身体を冷やすことになってしまいます。梅雨前から汗腺を鍛えておくとダラダラ汗からサラサラ汗になって、蒸発しやすくなるといいます。
汗と冷えの関係は、特に更年期の女性にとっては死活問題。火照りと冷え、自律神経の乱れなどが関係して、ここでの湿気とは病態は異なります。
湿気を発散する方法③
冷たいものばかり摂らない。
利水効果のある、トマトやスイカきゅうりなど瓜類は利水作用と同時に体を冷やし潤いを補給する作用がありますから、
涼性、冷性の食材は冷蔵庫から取り出してすぐに食べてしまうことは注意しましょう。
冷え性の人は火を通したり、毎日毎食など食べ続けることがないようにすると良いでしょう。
温かいハト麦茶は、利湿(りしつ)で湿を流しますし、ハト麦は皮膚の新陳代謝が落ちてできたイボを取るといわれます。ので、一石二鳥です。
身体の深部体温と同じ位の温度38度から40度程のぬるく感じる温度で、飲み物を飲むと、内臓に負担がかからず、すばやく吸収していきます。
飲み物の温度に気を配って、汗やおしっこと共に熱を排泄していきましょう。
+αの夏の健康法
夏は陽気が一番強くなる時期です。
この時期の過ごし方は、「夜は暗くなると共に寝て、日の出と共に起きる。
暑いけれども怠けず、適度な運動をして汗をかき、体の陽気を発散するように心がけるように」
と「黄帝内経素問」という中国の古書に書かれています。
夏休みの「ラジオ体操」はまさしく理に適っているわけです。
もう少し詳しく 「黄帝内経素問」 の夏の健康法から説明してみましょう。
「夏の三ヶ月を、蕃秀(ばんしゅう)という。この期間には、天地の陰陽の気が活発に交流しあって、生きとし生けるものすべて花咲き実る壮んな時期。この時にはすべて発散させるようにし、鬱積することのないように気を付けるべき」
といっています。それが夏における成長を特徴とする天地の気に相応じることであって、これこそ夏時の養生法と唱えています。
黄帝内経
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
なので、夏は、人間の陽気も全開する花のように全てを外に出すように働きます。
体内の老廃物や毒素を汗とともに皮膚を通じて外に排泄、放散できるようになれば良いのです。
梅雨に体調を崩しやすい人は、排泄や放散が行いにくい体質かもしれません。こんなことに当てはまりませんか?そして、注意すると良いことをご存じですか?こちらに書いています。
発散しないとどうなるか
もし、汗で身体から熱さを発散しないとどうなるか。
体に熱さがこもります。上半身に熱がこもりやすいのですが、「陽気」は体の上の方にのぼっていく性質があるからで、特に体の中で陽気が多い所は心や肺。心に熱がこもると心臓が悪くなったり、肺にこもると秋にその熱によって乾燥して痰の少ない空咳の原因にもなります。
暑気が加わると、こもった熱は一層強くなって煩躁状態になりがちです。 煩躁とは、胸中の熱と不安を煩といい、熱が盛んで津を傷るからであり、実熱証とみます。
そして、熱性病の後期、あるいは外感病で汗吐下ののち、なお熱があり、胸中煩熱・熟睡できないものは、虚火内擾で、虚煩といい、虚熱証になります。
もし煩して身冷・手足が無意識に動き、身心が共に疲労し、口が乾いても水を飲みたくなく、脈が細弱の場合、躁煩といって、これは虚陽妄動によるため虚寒証となります。
進行したレベルで証が全く変っていき、注意すべき事や治療方法は異なっていきますから進行させず早期に対処するに限ります。
ここから以降は、「実熱証」と「熱性病の外感病で汗吐下」までの状態を解説します。
夏は陽の気が盛んになるため大量の汗をかき、消化液の分泌は減少するのです。
人間も自然界の変化に従って、体内の陽の気が皮膚を通じて外界に発散するように心がけましょう。
『心の陽気』をうまく発散できないと、身体は暑さ苦しさを感じ始め、冷房や冷飲を好むようになり、
これを続けると便が緩くなる(下痢をする)ようになります。
土用について【体調管理の時期】と【体調を崩しやすいタイプ】に書いていますが、次の季節に順応しにくいタイプがあります。
四気調神大論
素問
自分で調整する力が弱く、疲れやすい、自律神経を乱しやすいといった特徴があります。その先の季節に体調不良をもちこしてしまい、積もり積もっていくのです。鍼灸や整体などで体調管理をうまく行うことで、季節の変化に順応できるようになり、心強いものです。
秋と関連する内臓器と注意点に詳しく書いていますが、秋になると咳が出てくる人はこのような季節の代わりが体に影響を与えているかもしれません。夏から気をつけてお過ごし下さい。
また、気をつける時期を覚えておき、その前後はしっかりとメンテナンスを行うことで一年を通して元気に過ごせるようになります。
皆さん、どうぞご自愛ください。